女子高生アイドルのスーパーハイスクールが、2026年10月31日の中部大学祭(愛知県春日井市)への出演を、本番の前日になって取りやめました。

辞退のお知らせには「LINEで運転免許証の画像を求められた」とまで書かれていて、まず責められたのは大学祭の実行委員会でした。

読んで「それは辞退して当然」と思った人も多いはずです。

ところが翌朝、元実行委員を名乗る人が「マネージャーが大学生を下に見て、強気にやり取りしたのでは」と予想を書き込み、今度はアイドル側の「圧」を疑う声が広がりました。

 

本当に悪いのは、どちらなのか。

免許証を求めたのが誰だったのかも、グループが大学祭に「呼ばれた」のかどうかも、まだはっきりしていません。

その手がかりは、このグループの〈名前〉の中にありました。


スーパーハイスクールのプロフィール

グループ名 スーパーハイスクール

どんなグループか 通信制高校のサポート校「スーパーハイスクール」から生まれた女子高生アイドル

うたい文句 「関西コレクション・TGC出演メンバー」

この秋の予定 愛知・兵庫の大学祭に次々と出演

グループ名は、メンバーが通うサポート校の名前そのものです。

スーパーハイスクールは、鹿島学園高等学校などの通信制高校と連携し、年に数回の登校で高校卒業の資格が取れるようにしている〈サポート校〉です。

芸能コースもあって、グループはその学校から生まれました。

 

京セラドームの関西コレクションや、横浜アリーナの東京ガールズコレクション(TGC)といった大きなファッションイベントへの出演を、宣伝の看板にしています(主催の出演者一覧では、どの枠での出演だったかまでは確かめられません)。

2025年にはNON STYLEの井上裕介さんや、バレーボール元日本代表の大林素子さんをゲストに迎えたYouTube動画も公開。

この秋は大学祭への出演に力を入れていて、愛知県では10月30日の愛知学院大学から始まって、4つの大学祭を回る予定でした。

この「次々と出演」が、大学祭に呼ばれての出演だったのか、ステージ企画に参加しての出演だったのかが、今回の話の分かれ目になります。


辞退のお知らせに書かれた3つの理由

グループは、大学祭の前の日にあたる10月30日の午前11時すぎに、辞退を発表しました。

グループの公式Xが挙げた理由は、次の3つです。

① 連絡・対応の遅れ
開催直前になっても詳細が伝えられず、問い合わせへの返信にも数十日かかるなど、連絡体制に不安で、2日前でも詳しく説明されない。

② 出演環境の説明との相違
ステージがあると聞いていたものの、実際は地面に敷物を敷くだけの環境で、事前の説明と異なっていたこと。アイドルは女子高生と知っていながら更衣室などの用意、説明もない

③ 個人情報の取り扱いへの不安
面識のない相手からLINEで運転免許証の画像提出を求められ、安全性を確認できなかったこと。

そのうえで、「安心して出演できる環境ではないと判断し、辞退を決断いたしました」と書いています。

同じ10月31日の愛知淑徳大学と中京大学の大学祭には、予定どおり出演するとも書かれていました。

 

このポストをきっかけに、大学祭の実行委員会を責める声が一気に広がりました。

大学祭の名前まで出して公表したこと自体が、「よほどのことがあったのだろう」と受け止められたわけです。


「免許証をLINEで」に驚く声

3つの理由の中で、いちばん「えっ」と驚く声が集まったのが、3つめの免許証の話。

グループの説明では、住所も顔写真も載った運転免許証の画像を、会ったこともない相手にLINEで送ってほしいと頼まれたそうです。

 

ただ、なぜ免許証が必要だったのかは、大学祭の側からはまだ説明が出ていません。

大学によっては、車で構内に入るときの許可申請に免許証の提示を求めているところがあります。

機材を積んだ車の入構手続きだったのか、まったく別の理由だったのか。

そこ次第で、大学祭の側がどこまで責められるべきかは大きく変わります。

 

実はこの10日前の10月20日にも、グループは福岡女子大学の大学祭への出演を取りやめていました。

大学とは関係のない、キッチンカーの関係者を名乗る人物から出演を頼まれ、出演時間の指定や、機材を送るようにという指示まであったのに、大学に問い合わせるとステージそのものが用意されていなかった、という一件。

このときグループは「今回の問題は大学側ではなく、第三者による出演依頼に関するもの」とわざわざ書き添えていました。

偽の出演依頼に振り回されたばかりなら、知らない相手からのLINEに慎重になるのも無理はありません。

 

しかも中部大学祭のポストには、免許証を求めた相手が実行委員会の学生だったのかどうかが書かれていません。

委員の誰かだったのか、ステージの手配を任された外の業者だったのか、それとも福岡のときのような第三者だったのか。

誰が求めたのかも分からないまま、ネットでは「中部大学」という名前ばかりが責められています。


「マネージャーの圧が原因」と言われる理由

批判が大学祭側に集まる中、10月31日の朝には、元中部大学祭の実行委員を名乗る人の「あくまで個人の予想」というポストが広まりました。

そのポストには、次のような流れが書かれていました。

  • 出演はアイドル側から頼んだもの(中部大学祭は例年、外からアイドルをゲストに呼んでいない)
  • マネージャーが大学生を下に見て、出演料などで強気にやり取りした(根拠はグループの「最近の圧ツイート」)
  • 大学を通さないと、まともに連絡が取れなくなった
  • 本番の2週間前になって、更衣室やステージなどの要望を「高圧的に」いくつも出した
  • 配置や人員を変えるほどの内容で、大学や他の部署との調整に追われて連絡が遅れた
  • 事前の連絡がないまま、突然辞退が発表された

どれも投稿した本人が「予想」と断ったうえでの話です。

「強気」「高圧的」という言い方についても、根拠がないのに書き足すべきではない、と反発する人が出ています。

 

このうち、ほかの投稿や大学祭のサイトで裏づけになりそうな話があるのは、1つめの「アイドル側から頼んだのでは」です。

ここ数年、中部大学祭がゲストとして呼んでいるのはお笑い芸人で、2026年はお笑いコンビのアイデンティティと、3人組のぱーてぃーちゃんでした。

スーパーハイスクールが立つ予定だったのは、大学祭の公式サイトによると「Stella stage」という、いくつかあるステージのひとつでした。

ほかの大学祭での出方を見ても、2026年6月の名古屋大学の大学祭で、「スーパーハイスクールライブ」は企画のひとつとして組まれ、その紹介文は通信制高校としての学校の案内から始まっていました。

大学祭のステージは、グループにとって学校を知ってもらう場でもあるのでしょう。

出方の手がかりは日程にもあって、10月31日は午前10時40分に愛知淑徳大学、午後1時に中京大学、午後4時30分に中部大学と、1日に3つの大学祭を回る予定でした。

1か所あたりの持ち時間は長くないはずで、神戸学院大学祭の告知にある「60分ライブ」とは、出方がまるで違うはず。

 

そう思ってグループの告知を見直すと、投稿によって自分たちの言い方が違っています。

10月21日のポストでは「日本でいちばん大学祭に出てる女子高生アイドル」、神戸学院大学祭の告知画像では「日本でいちばん大学祭に呼ばれている女子高生アイドル」。

自分たちから「出ている」のか、大学に「呼ばれている」のか。

この違いは、「ステージがあると聞いていた」グループと、地面に敷物だったという現場の食い違いに、そのまま重なります。

 

呼ばれたゲストなら、ステージも更衣室も用意されていて当然です。

ステージ企画に参加する一団体なら、地面に敷物の舞台でも、学生の側は「ステージを用意した」つもりだったのかもしれません。

 

一方、マネージャーが強気だったという話について、元実行委員を名乗る人が根拠に挙げているのはグループの「最近の圧ツイート」だけで、どのやり取りを指すのかは書かれていません。

しかも、もし本当にステージ企画の1枠として出る予定だったのなら、「出演料で強気だった」という話そのものが噛み合わなくなります。

同じ人の予想の1つめと2つめが、互いに支え合っていません。

Xで確かめられるのは、この秋の告知に並んだ「見逃すな」「兵庫大学祭にスーパーハイスクール襲来」といった強い言葉と、本番の前日に大学祭の名前と理由を自分たちのXで公表したことだけです。

これを「圧」と受け取るか、女子高生を守るための発信と受け取るかで、同じポストがまるで違って見えます。

同じ日の愛知淑徳大学と中京大学には予定どおり出演するのに、なぜ中部大学祭だけがこじれたのか。

大学祭の運営に関わったことがあると名乗る人からは、本番の直前に出演者側の要望が増えるのは珍しくない、という声も出ています。

要望が伝わったのが2週間前だったのか、もっと前から伝えていたのかで、無理を言ったのがアイドル側なのか委員会の側なのかは、まったく逆になります。


中部大学祭の実行委員会の側から見えること

中部大学には「ソレイユ」という学生のアイドルグループ(大学生のアイドルグループは「ユニドル」とも呼ばれます)もあって、同じ10月31日の大学祭に出演する予定でした。

学生の実行委員会が回す大学祭では、学生のグループも外のグループも、同じステージ企画の中に並ぶことがあります。

そこへやって来るのが、サポート校の看板を背負い、関西コレクションやTGCにも出てきた女子高生のグループでした。

学生にとっての「いつものステージ」が、女子高生を預かる大人から見れば「安心して立てない場所」に映ったのかもしれません。

 

ただ、グループは更衣室の「用意も説明もない」と書いていて、ここは見え方の差だけでは片づけられません。

連絡の遅れも別の話で、グループの言うとおり返事に何十日もかかっていたのなら、そこは委員会の側が説明すべきところです。

 

その大学祭の側は、10月31日、公式サイトのお知らせ欄に次の1行を載せました。

10月31日Stella stage出演予定の「スーパーハイスクール」は出演されないこととなりました

理由やおわびには、ひと言も触れていません。

それでも大学祭の側が黙っているかぎり、ネットで語られるのはグループ側の3つの理由だけになります。


悪いのはアイドル側か実行委員会か

女子高生を預かる大人にとって、着替える場所と個人情報の扱いは、いちばん譲れないところです。

そこに不安が残ったまま前日を迎えたのなら、出演を取りやめた判断そのものは責められません。

一方で、免許証を何に使うつもりだったのか、ステージをどう説明していたのかは、大学祭の側からまだひと言も語られていません。

「マネージャーの圧」という見方は、大学祭の側の説明がないぶん、推測で埋められて広まったものです。

 

結局のところ、大学祭に「呼ばれた」と受け取っていたアイドルと、ステージ企画の1枠として迎えた学生が、前日までその思い違いを確かめ合えなかった、ということなのかもしれませんね。