登録者62万人の家族系YouTubeチャンネル「しょうやん男三兄弟」が、収益化の再審査でもYouTubeに認められませんでした。

理由として伝えられたのは、「未成年者の意に反して注目を浴びることを促すコンテンツ」という一文だったそうです。

「子供で稼ぐな」という声に、父親のしょうやんはXで「全てお金は子供においてます」と返しましたが、反発はかえって大きくなる一方。

そこへ、父親が子どもを強い言葉で叱りつける過去の動画が次々に掘り起こされ、とても家族の成長記録とは言えないのでは、という声が広がっています。

しかもYouTubeから消した過去の動画は、「思い出(お蔵入り)」と名づけたDMMの有料チャンネルで、月550円で毎日1本ずつ公開していくと案内されているんです。

叱られる姿まで動画のネタにされてきた三兄弟の記録を、いったい誰がお金を払って見るのか。


動画を消しても通らなかった再審査

「やっと止まったか」と感じた人も、「そもそも何があったの?」という人もいると思うので、流れを先に押さえておきます。

しょうやん男三兄弟は、父親のしょうやんと母親、3人の息子による家族のチャンネルで、ユーチュラの報道によると、TikTokの動画が話題になったのをきっかけに、2021年5月にYouTubeを始めたそうです。

そこからは週3本のペースで投稿を続けてきたとのこと。

流れが変わったのは2026年9月12日で、しょうやんが「YouTube、引退します。」という動画を出しました。

収益はすでに3カ月ほど止まっていて、このままではチャンネルごと「永久BAN」になりかねない、というのが理由だったそうです。

活動の場は、DMMのオンラインサロン「しょうやん男三兄弟【保護者の会】」へ移しています。

 

ただ、本人たちは諦めていませんでした。

10月13日の動画では、YouTubeのポリシーに引っかかるかもしれない過去の動画を2200本削除し、問題がないと判断した10本だけを再公開したと報告しています。

15日に新作を1本出し、その反応を見てから収益化の再審査を申請する、という段取りでした。

 

10月24日に出た答えは、「認められませんでした」。

理由は前回と同じ「未成年者の意に反して注目を浴びることを促すコンテンツ」で、しょうやんは動画の中で「なんやねんと思ってます、正直」と本音を漏らしています。

同じ動画では、再公開していた10本も「これもいけないってことです、簡単に言うと」と削除することになり、YouTubeの上から、三兄弟の過去の動画はすべてなくなりました。

それでも「YouTubeの復活は諦めません」と続け、3カ月後に「ラストチャレンジ」として、もう一度申請すると宣言しています。

その3カ月は、子どもだけを映すのではなく大人も一緒に出る動画を、毎週土曜の18時に1本ずつ出していくそうです。

ネットでいちばん多く見かけるのは、こうした声でした。


「お金は子供に」が答えていない問い

お金を子どものために貯めているなら、何がいけないのか。

父親の側から見れば、そう言いたくなるのも分かります。

10月25日、しょうやんは知人の実業家の投稿を引用する形で、こう書きました。

ユーチュラの報道によると、引用元の投稿は、子どもたちは嫌がって出ているわけではなく、収益も子どもたちのために貯めている、と擁護する内容だったそうです。

ほかの家族チャンネルと比べて文句を言いそうになったけれど、それをしたら息子に顔向けできない、という一節には、父親なりの意地も見えます(同じ投稿の最後には「親の顔がみてみたい」と書いてしまっていますが)。

三兄弟が本気で「100万人」を目指していると話している、というのも、親としては背中を押したくなる話でしょう。

 

ただ、ここでYouTubeが出した一文を、もう一度ゆっくり読んでみましょう。

「未成年者の意に反して注目を浴びることを促すコンテンツ」。

YouTubeのヘルプにある子どもの安全のポリシーにも、未成年者は社会的に弱い立場にあるので、未成年者が意に反して注目を集めないように守るためのポリシーを設けている、と書かれています。

どちらの文にも、「お金」という言葉は一度も出てきません。

YouTubeが見ているのは、子どもの姿が誰の目にさらされるか、なんです。

 

同じ一文で収益化を止められたのは、この家族が最初でもありません。

2026年4月には、1歳の双子を育てる夫婦のチャンネル「けんじとあかりとふたご」も、まったく同じ理由で止められたと報じられています。

こちらは、生まれつきの病気がある娘の治療の経過を、同じ症状の子を持つ家族の参考になれば、と発信していたチャンネルでした。

1歳の子は、撮られたいとも撮られたくないとも言えません。

YouTubeは判定の細かい中身を公表していませんが、2つの家族を並べてみると、親の悪気やお金の使い道で決まる判定ではないことが見えてきます。

そう考えると、「全てお金は子供においてます」は、聞かれていない問いへの答えなんですよね。

 

しかもそのお金の話にも、少し引っかかるところが残っていて。

10月24日の動画でしょうやんは、新しく作る有料チャンネルの売り上げを「YouTubeを復活するための活動費に充てたい」と話していました。

さらに26日の夕方には、自分のXで「自分を奮い立たせるために子供の金で鰻食べてきた」と、冗談めかして書いていて。

前日の「全てお金は子供に」と並べると、さすがにその冗談はいまじゃなかったのでは…と言いたくなります。


「大激怒」までテロップにした成長記録

とても成長記録とは言えない、という声の出どころは、過去の動画でした。

ユーチュラの報道によると、この家族は2024年4月、食べ物を投げた息子に父親が「消えろ!」と怒鳴る場面が切り取られてネットで広まり、炎上したことがあります。

元の動画には、そのあと父親が直してほしい点を話し、冗談で笑わせてフォローする場面もあったそうですが、広まったのは怒鳴られている場面だけでした。

しょうやんはその後「言い過ぎたなっていうことも僕は思っています」と釈明しています。

その場面が、2年半たった10月26日の夜に、ふたたびネットで大きく広まりました。

27日には、別の切り抜きも出回り始めます。

食卓で父親が三男に「嘘つくなお前コラァ」とまくし立て、小さな箱のようなものを投げる場面がある、とされる動画です。

その映像には、「パパ過去一の大激怒…」「隠し通そうとした三男に大激怒…」というテロップが大きく入っていました。

家族のアルバムに残す記録なら、テロップはいりません。

子どもが叱られて黙りこむ場面にまで見出しを付けたということは、叱る場面そのものが「見どころ」として扱われていた、ということ。

 

ユーチュラの報道によると、9月の引退の動画にも、子どもたちに引退を伝える場面がそのまま収められていたといいます。

叱られた日も、YouTubeをやめると告げられた日も、カメラは回っていました。

何でも動画のネタになってしまう毎日を、三兄弟が自分で選べていたのかどうかは、外からは分かりません。

ウェブメディア「coki」のコラムでも、子どもの日常と並んで叱る場面の動画が長く投稿されてきたことや、父親の口調への批判が出ていたことが取り上げられています。

YouTubeの上の動画はもう全部消えているので、そのうち何割が叱る場面だったのかを数え直すことはできません。

それでも、テロップを付けて「大激怒」を見せる動画を成長記録と呼ぶのは、さすがに無理がありますよね。


月550円の「思い出」を誰が見るのか

ネットには、成長記録なら収益がなくても続ければいいのに、という声も並んでいます。

実はこの疑問、しょうやん自身も一度は同じことを考えていました。

9月の引退の動画で、「最初は収益が止まろうがなんやろうがやり続けると思ったんですけれども、さすがにちょっとこれはダメだろうということで判断させてもらいました」と話しています。

続けられなかった理由は、機材費や編集費、人件費、交通費がかさむから。

家族のスマホに残る成長記録とはちがって、人を雇い、お金をかけて、62万人に届けるために作っていた番組だったということです。

 

そして、思い出の動画そのものは消えていません。

しょうやんは10月24日の動画で、過去の動画だけを集めたチャンネルをDMMに作ると発表していて、いまDMMのオンラインサロンの一覧には「しょうやん男三兄弟【思い出(お蔵入り)ch】」が並んでいます。

料金は月550円で、紹介ページには「三兄弟が赤ちゃんだった頃から思い出を毎日投稿で一緒に振り返りましょう!」と書かれていました。

もとからあるサロン「保護者の会」は月1100円で、こちらの紹介文は「今まで以上にリアルな子育てや日常を大公開!」。

どんな場面をDMMに回すのかについては、しょうやんがこう説明していました。

「等身大の喧嘩や涙。逆に言うと、嬉し涙でもその涙もAIとかやったら悲し涙に映ってしまったりする」

YouTubeの機械の審査では、嬉し涙まで悲し涙に見えてしまう、という意味のようで、だから「激しめの内容」は、これからも月1100円の「保護者の会」などDMMの側だけで出していくそうです。

YouTubeから消した過去の動画のうち、どれが「思い出」に並ぶのかまでは説明されていません。

ただ、あの「大激怒」のような場面こそ、本人が言う「激しめの内容」にあたるはずで、これからはお金を払った人にだけ見せる側に回る、ということになりそうです。

 

では、その有料の部屋で、誰が見るのか。

思い出チャンネルの紹介ページには、「こんな方におすすめ」として、次の5つが並んでいます。

  • しょうやん男三兄弟が好きな方!
  • 家族の成長を見守りたい方!
  • 子どもが好きな方!
  • 子育ての悩みがある方!
  • 子育てが終わり懐かしい気持ちになりたい方!

入会の注意事項には、サロンの中の内容を外へ書き写すことを禁じ、違反すれば強制退会にする、とも書かれていました。

並べてみると、こういうことになります。

  • YouTubeが止めたのは、子どもに集まる注目
  • 家族が手放したのは、無料で誰でも見られる場所
  • 喧嘩や涙の場面は、お金を払った人に向けて出し続ける
  • 中で何が流れているかは、外からは見えない

YouTubeなら、審査もあれば、眉をひそめた人のコメントもつく。

有料の部屋に入ってくるのはお金を払ってでも見たい人だけなので、「それはおかしい」と言う人の目が、最初から入ってこないんです。

 

顔面ケーキの動画と同じ根っこ

この話は、ひとつの家族の騒動で終わる話ではないと思います。

以前このブログで、1歳の誕生日に、泣き叫ぶ子どもの顔をケーキに押しつけ、まわりの大人たちが笑っている動画を取り上げました。

左側に1歳児の顔にケーキを埋める女のイラストに「顔面ケーキ動画が大炎上! SNS時代の親が失ったもの」のテキスト入り。
顔面ケーキ動画はなぜ大炎上した?SNS時代の親が見失ったものとは 1歳児の顔面にケーキを何度も押し付け、泣き叫ぶ声を背に笑う親の姿。 SNSで見かけたその動画に、あなたは言いようのない嫌悪感を覚え...

あのときも今回も、引っかかる場所は同じなんです。

  • 子どもの嫌がる顔や泣き顔が、そのまま動画の見どころになっている
  • 撮られる側の子どもに、断る手段がない
  • 撮って公開しているのは、いちばん守る立場の親

子どもの意思より、撮れ高が先に来ている。

子どもを、SNSや動画の道具としてしか見ていないのでは、親としてどうなのか、という声がどちらの動画にも同じように向いたのは、そのためなんですよね。

 

海外では、この問題はもう法律の話になっています。

フランスでは2020年に、動画で稼ぐ16歳未満の子どもを守る法律ができていて、フランス国民議会などの説明によると、親が投稿する動画に出ている子どもでも、一定の時間や収入を超えれば届け出が必要になり、収入の一部は子どもが成人するまで公的な機関で預かる仕組みです。

「全てお金は子供においてます」を、親の言葉ではなく国の仕組みで約束させた形ですね。

ただ、この法律はお金だけで終わっていません。

子ども本人が、自分の映った動画の削除を求められる権利も、あわせて定められました。

お金を子どもに残すことと、子ども自身が「その動画は消して」と言えることが、セットになっているということ。

ただ、どれだけ削除を求められても、一度よそで広まった切り抜きまでは、家族の手で消すことはできません。

18歳という数字はともかく、自分の顔や涙を誰に見せるかは、自分で決められる年になってから、ということですよね。


「逆に詰めたんぞ」の先にいる三兄弟

何年も続けてきたものを止められた悔しさは、きっと外から見るより大きいはずです。

ただ、その悔しさの向け先がずれてしまいました。

10月25日の夜、しょうやんは自分を批判した投稿に次々と引用で返し、「お前の親もろくな親ではないだろう」と書いています。

子どもの顔を出す親を軽蔑する、と書いた人には、アイコンに子どもの写真が使われていると指摘して、こう続けました。

「人を詰める時は詰めろよ。逆に詰めたんぞ。民度低いTwitter民」

ところが報道によると、そのアイコンは子どもの後頭部しか写っていない画像で、相手からはAIで作った画像だと返されてしまったそうです。

翌26日の昼には、前の晩の一連の投稿について「わざと、誤字脱字を使用したり、噛み付いてみたら、どれだけ反応あるか試してみた」と投稿しています。

 

ここで、もう一度あの一文を思い出してみてください。

「注目を浴びることを促す」と言われた直後に、父親自身が「どれだけ反応あるか試してみた」と書いているんです。

やり合いが続くほど、話題は大きくなり、そのたびにチャンネルの名前と三兄弟の顔が、この家族を知らなかった人の画面にまで流れていきます。

この投稿の心配が向いているのは、三兄弟の毎日です。

「民度低いTwitter民」とのやり合いを、同級生やその親が読まないとは限りません。

3カ月後の「ラストチャレンジ」でYouTubeが見るのは、これから出る土曜18時の動画。

そこに映るのも、またあの三兄弟です。

 

子どものお金をどこに置くかは、親が決めて、親がやり通せます。

ただ、YouTubeが聞いていたのは、三兄弟の顔と涙を誰に見せるかでした。

子どもの涙や喧嘩まで、お金を払う人に向けて出し続けるのなら、それはもう成長記録とは呼べないのかもしれませんね。