『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』でチーフプロデューサーを務めた松浦大悟(ファンの呼び名は松浦P)の名前が、LINEの画面に書かれていました。

画面を自分のXに上げたのは、元出演者の今森茉耶(いまもり まや)で、20歳未満での飲酒を理由に番組を降板した人です。

2026年10月14日の未明。

その前の晩には、「松浦P…今頃相当頭抱えてるだろうな」と、降板騒動に振り回された側を気づかう声が上がっていたばかりなんです。

今森茉耶が動画で高校時代の妊娠を打ち明け、その話題が広がっていた夜のことでした。

役を引き継いだ志田こはくや、脚本の井上亜樹子と並べて、作品を守った1人として名前が挙がっていたのが松浦Pです。

それが一晩で、「松浦Pは被害者ではないのでは」という声へ。

ただ、画面に写っていたのは、松浦P本人が書いた言葉ではないんですよね。

あれは、今森茉耶の側が、東映とのお金の話し合いで「減額交渉のカード」にするために聞き取ったメモでした。

画面に松浦Pの名前があることと、書かれたとおりのことが本当にあったかどうかは、分けて見ておきたいところです。


松浦Pの名前が出たLINE

2025年2月に放送が始まった『ゴジュウジャー』で、今森茉耶が演じていたのは一河角乃(いちかわ すみの)。

変身するとゴジュウユニコーンになる、6人のうちただ1人の女性の戦士でした。

2025年11月8日、20歳未満での飲酒が分かったとして番組を降板。

同じ日に、所属事務所との契約も解除されています。

それから11か月たった2026年10月14日の午前1時23分、本人のXに出たのが「飲酒なんて、私1人でしたわけじゃない」という一言。

続けて、縦に長いLINEの画面も出ました。

朝までに書き込みも画像も消えましたが、画面を保存していた人たちが次々に貼り直して、一気に広まっています。

 

画面のなかで、いちばん多く引用されたのがこの一行です。

「松浦さんに『俺が見てない間だったら、知らなかったことにするよ』と言われて飲む」

2024年の11月から12月ごろ、松浦Pも参加した飲み会で、マッコリを1杯飲んだ、という書かれ方でした。

番組の放送が始まる3か月ほど前で、今森茉耶はまだ18歳。

しかも、同じ飲み会の参加者として、松浦Pのほかにも書かれていた人たちがいます。

メモには参加者として「ヒーロー5人」とあり、一緒に戦隊を演じていた出演者たちも同じ席にいたことになっています。

名前こそ出ていなくても、見る人が見れば誰のことかは分かってしまう書き方です。

松浦Pを案じる声の陰で、自分からは何も言っていない出演者たちも、同じ画面に巻き込まれているんです。

 

本人はその日の午後、謝罪文でこう書いています。

「守らなきゃいけなかった情報を、自分が辛い、しんどい。全部終わりにしたい。という感情だけで投稿してしまいました」

そして、しばらくすべての発信をやめる、と。

ただ、画面の中身が事実なのかどうかは、謝罪文のどこにも書かれていないんです。

同じ謝罪文の「この6年間」という一言は、本人の年齢と計算が合わないとして、別の騒ぎにもなりました(今森茉耶の年齢サバ読みの真相…高1妊娠と6年間が合わない理由)。


ゴジュウジャー松浦Pの経歴

松浦大悟は、東映で特撮番組を作ってきたプロデューサーです。

放送中の2025年10月には、ゴジュウウルフのフィギュアを手に、作品への思いを語る動画にも出ていました。

  • 名前:松浦大悟(まつうら・だいご)
  • 生まれ:1996年とされる
  • 所属:東映(プロデューサー)
  • 代表作:『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』(チーフプロデューサー)
  • 番組公式サイトの「あとがき」も毎週書いていた
  • 2021年:『機界戦隊ゼンカイジャー』にプロデューサー補として参加
  • 2022年:『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(プロデューサー補)
  • 2023年:『仮面ライダーガッチャード』(プロデューサー補)
  • 2024年:映画『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』(プロデューサー補)
  • 2025年2月:『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』の放送が始まり、初めてチーフプロデューサーを務める
  • 2025年11月8日:今森茉耶の降板が発表される
  • 2026年2月8日:『ゴジュウジャー』が最終回を迎える

『ゴジュウジャー』はスーパー戦隊50周年の記念作で、シリーズが一区切りになる作品でもありました。

そのチーフを20代で初めて任されたのが、松浦Pなんです。

番組のおもちゃは、メーカーから「クリスマスに店頭から消えました!この10年ないことです!」と電話が来るほどの売れ行き。

松浦P自身が、最終回前のインタビューでそう話しています。

ただ、番組がどれだけ話題になっても、表に出るのはキャストと作品の名前ばかり。

歌舞伎の舞台には、黒い衣装で役者を手伝う「黒衣(くろご)」がいて、客席からは見えないものとして扱う約束になっています。

プロデューサーもふだんは番組の黒衣で、こうして名前が騒ぎのまんなかに出てくることは、めったにありません。


「人生で一番長い」2年間

降板が発表された2025年11月8日は、ファンのあいだでは松浦Pの誕生日だったとされていて、「誕生日にあの発表は心が折れる」と書いた人もいました。

出演していた場面はカットされ、角乃の役は途中から別の俳優へ引き継がれることになりました。

それから2週間ほどたった11月23日ごろ、番組の公式サイトの第40話のページに載ったあとがきで、松浦Pはこう書いています。

「先輩プロデューサーたちに助けてもらいました。歴戦の監督たちに助けてもらいました」

「当たり前ですが、ひとりでは何もできませんでした」

そのあとに続いたのが、「この番組は、皆様に生かされて、まだここに居ます」という一文でした。

翌週、11月30日放送の第40話から、角乃は志田こはくが演じています。

最終回を前にした2026年2月2日のインタビューでは、「準備期間を含めて、人生で一番長い2年間だった感じはしますね」と振り返っていた松浦P。

そのうえで、最終回にはキャスト交代の影響がはっきり出ている場面があると、自分から明かしています。

いちばん大変な時期に最終回を撮らなければならず、そのツギハギを見ると「とても悔しい気持ちにはなります」とも。

 

それでも、悔しいと思うたびに主人公の遠野吠(とおの ほえる)から叱られるような気がする、と松浦Pは続けていました。

過去にいろいろあっても、この世界でなんとか生きようとしている吠を見習いたい、という話です。

だから、ツギハギは「チャームポイントだと思うようにしています」と。

2月8日の最終回のあとには、こんなやり取りも話題になっています。

原島Pは、松浦Pと一緒に番組を担当していたプロデューサーの1人です。


「減額交渉のカード」と損害賠償の噂

では、松浦Pの名前が出たLINEは、どういうやり取りだったのでしょうか。

画面に写っていたのは、今森茉耶と、今森茉耶の側で話し合いを進めている人とのやり取りです。

相手が誰なのかは、画面からは分からないまま。

 

やり取りの日付は「2/12(木)」で、最終回から4日後の木曜日にあたります。

相手が送った最初のメッセージには、金曜に東映と具体的な金額の話をすることになった、と書かれていました。

その続きがこれです。

「減額交渉のカードとして、松浦さんといる場で飲酒した(見てないから飲んでもいいよと言われた)日のことを把握しておきたい」

「これ使わなくても減額できる可能性もあるが、念のため把握しておきたい」とも。

同じメッセージには、「いつどこで誰と飲んだかが分かればかなり大きく、まやちゃんの負担も減るかも」とも書かれていました。

何の金額なのかまでは、書かれていないんですよね。

 

そのあとに貼られていたのが、「過去のまやちゃん飲酒関連ヒアリングメモ」という箇条書きで、問題の一行はこの中にありました。

つまり、あの一行は、今森茉耶の側の人が、今森茉耶から聞いた話をまとめて書いたものなんです。

 

聞き取りを受けた今森茉耶の返事は、「正確な日付は写真とかも撮らないようにしてたので覚えていないです」。

「記憶に違いなさそう?」と確かめられて、「はい」と答えています。

写真も日付もなく、あるのは今森茉耶の記憶と、それを書き留めた人のメモだけ。

 

 

もちろん、話し合いの材料だったからといって、中身がうそだということにはなりません。

本当にあったことだから書いた、ということも十分ありえます。

ただ、この一行が話し合いを有利にする材料として集められたことも、画面に書かれているとおりです。

 

そして、カードというのは、伏せて持っているあいだだけ効くものです。

トランプでも、切り札を先に見せてしまえば、相手はそれに合わせて手を打てますよね。

本人が謝罪文で「守らなきゃいけなかった情報」と書いているとおり、この画面は本来、話し合いの中だけで使うはずのものでした。

もし話し合いがまだ続いていたとしても、伏せておくから効いたはずの材料は、Xに出た時点で相手にも世間にも知られてしまいました。

実際に広まったのは、冒頭の「被害者ではないのでは」という声のような、名前を書かれた人たちへの疑いでした。

一方で、騒動の初日からこう見ていた人もいます。

降板が発表された日から、松浦Pはずっと「巻き込まれた側」として見られてきました。

メモ1枚で、2年かけて番組を守った人を疑う側へ回るのは、私にはまだ早く思えます。

ファンのあいだからは、「違うなら東映からきっちり否定して欲しい」という声も出ています。

メモの中身が本当なら、東映が自分の言葉で説明すべきことですよね。

 

では、メモにあった東映との「金額の話」とは、何のお金だったのでしょうか。

ただ、この騒動のあいだずっと、今森茉耶は損害賠償を求められていたのではという噂がささやかれてきました。

噂そのものは、降板が発表された2025年11月8日の夜には、もう出ています。

撮り終えていた場面を撮り直せば、ほかの出演者やスタッフの時間も、そのぶん使うことになります。

「そのお金は誰かが払うはず」と考えた人が多かったのも、無理のない流れでした。

 

表に出ている答えは、いまのところ1つだけ。

2025年11月25日、番組を放送したテレビ朝日の西新社長が定例会見で、損害賠償について「現状何も考えていない」と答えています。

ただ、これはあくまでテレビ朝日の話。

番組を作った東映や、おもちゃを出しているバンダイが同じ考えなのかは、どこからも発表されていません。

 

そこへ今回、噂を裏づけるようにも読める言葉が、2つ出てきました。

1つは、LINEにあった「減額交渉」という言葉。

減らす交渉をするには、その前に減らす元になる金額がなければいけません。

2026年2月の時点で、今森茉耶の側と東映のあいだには、何かしらの金額がもう示されていた、と読めます。

もう1つは、謝罪文にあった「負債の件」という一言でした。

謝罪文は続けて、負債のことでは家族に責任が行くのをずっと気にしていた、とも書いています。

 

ここからは、私の推察です。

今森茉耶が事務所と契約したのは2022年10月で、そのときまだ16歳。

未成年が仕事の契約を結ぶには、親の同意が要ります。

もし親もその契約に名前を連ねていたなら、本人が払いきれない分が家族に回ってくることも、ありえない話ではありません。

「家族に責任が行く」という言葉は、そう考えるとすんなりつながるんですよね。

もちろん、負債の中身も、誰に対する負債なのかも、謝罪文には書かれていません。

東映との話なのか、契約を解除した元の事務所との話なのか、それとも別のお金なのかも、分からないままです。

 

それでも、ここまで並べると、あのメモが何のために作られたのかは見えてきます。

メモの中の「まやちゃんの負担も減るかも」という一言は、負債を少しでも軽くしたいという話として読むと、いちばん筋が通ると思います。

損害賠償の噂と、松浦Pの名前が出たLINEは、同じお金の話の表と裏。

松浦Pの名前は、その金額を値切るための切り札として書き留められていた、ということになります。

深夜に画面を出してしまった理由も、追いつめられていたのがお金のことだったと考えると、少しだけ見えてくる気がします。


白倉Pや武部Pなら防げた説

松浦Pを気の毒に思う声のなかにも、こんな見方があります。

松浦Pが悪いわけではないけれど、担当がベテランの白倉伸一郎や武部直美なら、厳しく管理して番組を完走させていただろう。

若手だから仕方ない面はあっても、出演者への目配りが足りなかった「監督不行き届き」は確か、という声です。

白倉伸一郎も武部直美も、東映で長く仮面ライダーやスーパー戦隊を手がけてきたベテランのプロデューサー。

初めてチーフを任された人と比べれば、現場を締める経験の差は、たしかにあると思います。

降板が発表された当日には、ベテランの昔を引き合いに出して、松浦Pを励ます声もありました。

番組は全49話を最後まで放送しましたが、放送が始まったときの顔ぶれのままでは届けられませんでした。

「監督不行き届き」という言葉の裏にある、同じ顔ぶれで最終回まで見たかったという気持ちは、私にもよく分かります。


東映がまだ答えていないこと

いま分かっていないことは、この3つです。

  • 広まっているLINEの画面は本物なのか
  • メモに書かれた2024年の飲み会は本当にあったのか
  • 2026年2月の「金額の話」や謝罪文の「負債」は何のお金で、どうなったのか

答えられるのは東映と松浦P本人ですが、東映の立場は少し入り組んでいます。

メモの中で、金額の話し合いの相手になっていたのは東映。

名前を書かれた松浦Pも、その東映のプロデューサーです。

東映は、今森茉耶の側とお金の話をしてきた当事者であり、同時に、自分たちの作り手の名前が出た立場でもあるわけです。

話し合いが終わっていないなら、何かを認めても否定しても、その言葉はそのまま話し合いの中身にも跳ね返ります。

それでも、降板の日の文書に「番組制作に関わる全ての関係者のコンプライアンス意識を再教育」と書いたのは、ほかでもない東映自身。

出演者だけでなく作る側も含めて改めると書いた以上、名前の出た作り手のことも、その約束の中で説明してほしいところです。

 

ネットでは、次の作品の出演者選びを心配する声まで出ています。

「某五十🦄」は、ゴジュウ(五十)ジャーのユニコーン、つまり今森茉耶が演じた役のことです。

あの第40話のあとがきの終わり近くで、松浦Pは「ゴジュウジャーは、はぐれものたちの『生き直し』の物語です」と書いていました。

その物語を最終回まで見届けた人ほど、画面1枚で放送の1年を塗り替えられたくないのは、当然なのかもしれませんね。