2026年10月、ドラマ『VIVANT』でドラム役を演じる富栄ドラムが、バラエティ番組で笑いながら自分の声で話す映像がXで出回り、「自我だし始めた」「実力ないんだから自我出すなよ」と書かれました。

ネットで「自我を出す」は、決められたキャラや役割からはみ出して自分を出しすぎる、という意味で使われる言い方です。

ドラムは劇中でひと言も声を出さず、スマホの翻訳アプリの声で話す人物です。

だからといって、喋っただけで「自我」と言われるのは、さすがにかわいそうですよね。

しかもこの映像、放送中のシーズン2のものではありません。

話しただけで、なぜここまで言われなければいけなかったのでしょうか。


富栄ドラムのプロフィール

名前 富栄ドラム(とみさかえ どらむ)

生年月日 1992年4月11日(34歳)

出身 兵庫県神戸市

前の仕事 大相撲の力士(伊勢ヶ濱部屋・力士としての名前は富栄)

最高位 東幕下6枚目(給料をもらえる十両のひとつ手前の地位)

中学生のときに出た神戸市の相撲大会で、伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)に声をかけられて相撲の世界に入りました。

横綱の日馬富士や照ノ富士の付け人(身の回りの世話をする役)も務めましたが、けがなどが重なり、2021年3月場所で引退しています。

 

引退後はYouTubeで活動し、『VIVANT』の撮影に入る前の2023年2月に、役名にちなんで「富栄ドラム」へ名前を変えました(姓名判断も参考にしたと本人が話しています)。

そして2023年7月から放送された『VIVANT』で、阿部寛が演じる野崎の相棒・ドラムを演じ、一気に名前が知られました。

ドラムは言葉を理解できても声を出せない人物で、翻訳アプリの声を担当しているのは声優の林原めぐみです。


叩かれた映像は2023年のもの

「自我」と言われた映像の画面には、「TV初しゃべり」という文字が出ています。

『VIVANT』に出てから、富栄ドラムが人前で初めて自分の声を出したのは、2023年9月にシーズン1の最終回が終わったあとでした。

最初はTBSラジオの番組で、テレビで話したのはそのあとです。

つまりこの映像は、シーズン1が終わったころ、富栄ドラムがテレビで初めて自分の声で話したときのものです。

その場面を、シーズン2の放送中のいま、いつのものかの説明もないままXに上げた人がいました。

いまの姿だと思って見れば、黙っていたドラムが急に喋り出したように見えてしまいます。


放送中は着ぐるみの中の人だった

シーズン1が終わった2023年の年末、富栄ドラムは集英社のスポーツサイト「web Sportiva」のインタビューで、放送中の気持ちをこう話しています。

「林原めぐみさんの声が印象に残っている方も多いので、僕が素の声で話した時に『みなさんのイメージを裏切ってしまったらどうしよう』『ファンが減ってしまうんじゃないか……』と不安で、ドラマの放送中は”着ぐるみの中の人”のような感覚で過ごしていました」

 

シーズン2が始まった2026年7月からは、また素の声を封印しています。

10月10日の『オールスター感謝祭’26秋』では、番組が企画として用意した「事件」の解決役を探す場面で、富栄ドラムが「頼りになりそうな人に電話してみるね」と、ドラマと同じスマホの音声で話していました。

3年前にテレビで自分の声を出し始めた富栄ドラムが、いまはまたドラムの役のために声を出さずにいます。


ドラム役の演技にも言われた「自我」

じつはシーズン2のドラムの演じ方にも、見ていた人たちが「自我」という言葉を使っていました。

10月11日の放送回のあとには、「ドラムの顔芸で野崎が言わざるを得なくなってる」「今期のドラムの演技、自我出過ぎ」といった感想が出ています。

ドラムの表情のせいで隠していたことがばれてしまい、野崎が口に出すしかなくなった場面のことを言っているようです。

 

シーズン1のドラムは、黙って車や道具をそろえる頼れる相棒。

シーズン2では、喜んだり怒ったりする顔がはっきり出る場面が増えています。

同じ変化を「自然な心の変化」と受け取る人もいれば、「出過ぎ」と感じる人もいます。

役のドラムの変わり方をどう感じるかまでなら、人それぞれの見方で済む話です。

 

けれど同じ「自我」という言葉を、3年前に本人がテレビで話した映像にまで向ける人が出てきました。

いつの映像かを確かめないまま、役の演じ方への感想を本人が自分の声で話したことにまで当てはめる人は、役と本人をごっちゃにしています。


相撲ファンが知っているお調子者

力士だったころの富栄ドラムは、人前で目立つのが好きな人でした。

2017年には、NHKのチャリティー相撲『福祉大相撲』で、照ノ富士のボイスパーカッションに合わせてラップまで披露。

特技はバク転で、力士の体のまま回ってみせる姿は、引退する前からバラエティ番組で取り上げられていました。

2023年9月の週刊文春の記事では、相撲界のOBが、力士時代の富栄ドラムは目立ちたがり屋で、ドラムの役とは違ってお喋りだったと話しています。

 

役を離れて自分の声で話すのは、この人にとってはいつもの姿なのです。


VIVANT以外でも続けてきた仕事

「実力ないんだから」と言われた富栄ドラムですが、『VIVANT』の前には相撲の世界を描いたNetflixのドラマ『サンクチュアリ -聖域-』で力士の役を演じています。

そのあとも舞台に立ち、2025年には台本を声だけで読んで演じる朗読劇『夢の値段』にも出演しました。

シーズン2の放送は12月まで続く予定で、そのあいだドラムはスマホの声で話します。

シーズン1のあとのように、役を離れた富栄ドラムが自分の声で話すのは、責められることではありません。

放送が終わったら、また本人の声で話す富栄ドラムを見られるのが楽しみですね。