顔に5000万円以上をかけてきた美容外科医が、番組の中で「いまは唇を触っても感覚がない」と話しました。

2026年11月2日に配信されたNewsPicksの討論番組『2Sides』で、“たいせい先生”こと辻大成(38)が、顎の骨を削る手術のときに自分から「知覚神経を台無しにしてもいいのでガッツリやって」と頼んだと明かしたんです。

向かいに座っていた高須クリニックの高須幹弥(51)は、本人を前にして「先生自身が醜形恐怖症で整形依存症になっていると思う」と口にしたと報じられています。

醜形恐怖症というのは、実際にはおかしくない自分の見た目を、必要以上に醜いと思い込んでしまう状態のこと。

その5日後、高須幹弥は自分のYouTubeでこの件を語り直し、若いころの無茶な整形を何十年もたってから後悔している人が、たくさんいると話しました。

高須クリニックには以前から、「整形しなくていい」と言われて帰された、という思い出を書く人があとを絶ちません。

若いころの整形は、何十年もたったときにどうなるのか。

高須幹弥が挙げた整形の失敗事例と、「頼まれても断る」という考え方を、辻大成の言い分と並べてわかりやすく解説していきたいと思います。


神経を切ってまで削った辻大成の顎

辻大成は、美容クリニック「Tokyo Tensei Clinic(転生クリニック)」の統括代表を務める美容外科医です。

Xのプロフィールには「自身も顔面課金5000万超え日本一の小顔整形ドクター」と書かれていて、自分が整形を受け続けることで、その良し悪しを経験としてお客さんに伝えられる、という考えで手術を重ねてきたとのこと。

番組でMCの加藤浩次に、繰り返しの整形で困っていることを聞かれた辻大成は、顎の骨切りのあと口のまわりの感覚がなくなったと話したと報じられています。

額を縮める手術では、頭皮の感覚もなくなったそうです。

さらに、目や口がうまく閉じなくなったことまで明かしました。

それでも本人は「生きづらい体にはなったけど、それでもいいから。自分の理想を叶えられた」と前向きに語っていたそうです。

 

この神経の話は、番組より前から本人が自分で書いていたものでした。

2026年6月にも、自分のXでこう書いています。

番組で話したのは、このときの骨切りのことです。

 

では、切った神経はどういうものなのか。

高須幹弥の説明では、顎の骨からはオトガイ神経という神経が出ていて、本来はこれを傷つけないように骨を切るのが正しい手術なのだそうです。

神経が邪魔になるぶん削れる量には限りがあり、神経ごと切ってしまえば削るのは簡単、ただし感覚が麻痺したままもう元に戻ることはないと話しています。

しゃべりづらい、ご飯を食べづらい、といった不便も一生残るとのこと。

番組でこの話を聞いた高須幹弥は、「知覚神経を切って骨切りをする。これは絶対にやってはいけないことだと思います」と言い切り、患者に頼まれても「医者としては断らないといけない」と続けました。

ピンズバNEWSによると、最後には声を震わせて「毎日やっていて辛くないですか。自分はそんな人を手術して、世の中のためになっているのかなと思いませんか」と問いかけたと伝えられています。


「俺みたいになるぞ」辻大成の言い分

とはいえ、「自分の顔なんだから、好きにすればいいのでは」と感じた人もいるはずです。

辻大成の話にも、筋の通ったところはありました。

辻大成は、クリニックに来る人を「患者様」ではなく「お客様」と呼んでいるそうです。

病気ではない人を患者と呼ぶと「私のどこが病気?」と受け取る人もいて、整形依存の人を刺激しかねないうえ、美容にはサービス業の面もある、というのが理由でした。

そのうえで、「やりすぎたら俺みたいになるぞ」と自分の体験をそのまま伝えられる、それでもいいという人なら手術する、という立場です。

説明して、本人が望めば引き受ける。

これだけを聞くと、きちんと話したうえでの手術にも見えます。

 

では、辻大成のクリニックでも同じような手術をしているのか、と気になった人もいるはずです。

番組のあと、辻大成は自分のXで、神経を切ったのは自分が手術を受けたときの話だと書き込んでいました。

自分が手術をする側では、体への負担が大きい手術(本人の言葉では「高侵襲のオペ」)はしていない、とのことです。

11月8日には、こんな投稿もしていました。

ネットには、辻大成の受け答えに好感を持つ声も。

実は高須幹弥自身も、11月7日の動画で、おそらく番組を見て辻大成のところへ行く患者さんは増えるだろう、と話しています。

自分の気持ちを分かってくれる先生なら希望の手術をしてくれる、と考える人がいるからです。


高須幹弥が挙げた整形失敗事例

では、望まれるままに手術を重ねると、何が起きるのか。

高須幹弥は11月7日の動画で、頼まれるままに手術をした結果どうなったのか、実際の例をいくつも挙げていました。

どれも、本人が望んで、医者がその通りに手術した結果として話されていたものです。

11月7日の動画で挙げた例

  • 鼻先を伸ばしすぎる=皮膚がパツパツになり、鼻先が真っ赤になる
  • 人中(鼻と唇のあいだ)を何度も短くする=唇と鼻がくっつきそうになる
  • 目の開きを良くする手術を重ねる=目が閉じなくなり、ドライアイが続く
  • 痩せているのに脂肪吸引をする=皮膚がでこぼこになり、色も悪くなる
  • ヒアルロン酸を顔中に入れる=涙袋も鼻も唇も頬もパンパンになる
  • 小鼻を小さくする手術を繰り返す=鼻の穴が細くなりすぎても止まらない

年を取ってから形が崩れる手術があることは、前から繰り返し伝えてきた話でもあります。

2025年8月の動画では「5年持てばいい、10年持てばいいっていう感覚で、無茶な手術をする美容外科医が最近は結構多いです」と話し、皮膚の薄いところに脂肪を入れすぎたり、骨格に合わない大きすぎるプロテーゼを入れたりすると、年を取って皮膚が薄くなったときに輪郭が浮き出てくる、とも説明していました。

美容外科の中で働く人からも、無理に小さくした鼻は不自然になる、という声が出ています。

胸が大きいことを周りから言われ続けてきた若い女性から「胸を全部取ってしまいたい」と頼まれることもあり、失敗になる前に止めるべき要望として、医者なら説得しないといけない、と高須幹弥は話していました。

 

海外で知られた失敗事例

高須幹弥の話からは少し離れますが、海外でも、繰り返しの施術が取り返しのつかない形になった例が報じられています。

アメリカのFOXニュースなどによると、韓国のハン・ヘギョンという女性は、医師から渡されたシリコンを自分で顔に注射し続け、それが尽きると食用油まで使ったと報じられました。

顔は大きく腫れ上がり、その後の手術で異物を取り除いても、皮膚の傷みは残ったそうです。

イギリスの歌手ピート・バーンズは、唇に入れた注入剤の合併症に長く苦しみ、施術した医師が過失を認めて45万ポンド(日本円で数千万円)の和解金が支払われたと、イギリスで伝えられています。

どちらも、一度では終わらずに重ねていった先で、元に戻せなくなった例でした。


「先生に止めて欲しかった」という後悔

20歳前後のころは、何十年も先の自分の顔まで考えられないものですよね。

高須幹弥が11月7日の動画でいちばん強く訴えていたのは、その何十年も先の話でした。

高須クリニックは50年以上続いていて、若いころによそで無茶な整形を受け、あとからそれに気づいて後悔している人が「結構いっぱいいる」と話しています。

その人たちが口にするのが、「あの時やめとけばよかった」「先生に止めて欲しかった」という言葉なんだそうです。

そして「自分も悪いんですけど」と、自分を責める。

高須幹弥は、それに対して「いやそれ医者が悪いだろうって僕は思う」と言っています。

 

もちろん、整形した人がみんな後悔しているわけではありません。

高須幹弥自身も、2025年8月の動画で「整形すると将来崩れるのか」という疑問に「結論から言いますと、ケースバイケースです」と答えています。

顔の土台に合ったデザインで正しく手術すれば、年相応に変わっても不自然に崩れることはない、というのが答えでした。

分かれ道になるのは、その人の土台を超えた手術を、誰が止めるのかなんです。

 

高須幹弥によると、醜形恐怖症の人は整形でコンプレックスが少し消えると一瞬気持ちよくなり、すぐにその状態に慣れて、また手術したくなるとのこと。

アルコール依存症と同じだと話していて、望まれるままに手術するのは、お酒を売ってお金を稼ぎ、飲む人も喜んでいる状態に近い、とたとえていました。

目が閉じない、感覚が戻らない、といった障害があとから出て、保険診療の形成外科で治すことになる人もたくさん出てくる、とも話しています。

手術を望んだその日に本人が喜んでいても、5年後、10年後、20年後、30年後に深く後悔することがあるというのが、高須幹弥の考え。

整形のしすぎは本人の弱さの話に見えますが、何十年もたってから出てくるのは、止めてほしかった医者への言葉なんです。


高須幹弥が手術を断る理由

高須クリニックで手術を断られた、という思い出は、今回の対談のあとにもたくさん書き込まれました。

こうして帰された思い出が、いまも笑い話まじりに語られているわけです。

 

高須幹弥がこれまでの動画やインタビューで話してきた考え方を並べると、こうなります。

  • 必要のない整形は勧めない。自分の顔を必要以上に悪く思い込んでいる人には「やる必要ないですよ」と伝える
  • その人の顔の土台に合ったデザインで、できれば1回で決める
  • メリットとデメリット、傷や腫れのことを話したうえで、やるかどうかは本人が決める
  • 来る人は「お客さん」ではなく「患者さん」と呼ぶ。お客さん相手だと、なるべくたくさんお金を取る方向になるから
  • 美容クリニックが増えすぎて、必要以上にコンプレックスを増やすことで需要が作られている
  • 整形する人が増える世の中は、国全体で見れば幸福度が下がる

最後の一つは、2024年の東スポWEBのインタビューで「本当に平均から逸脱してる、顔の本当に悪いところだけを整形でなおすぐらいの世の中の方が良かったんじゃないか」と話していたものです。

 

ただ、整形そのものに反対しているわけではありません。

断ってもらいたくて予約する人まで出てきたようで、2025年9月には、「整形する必要ないですよ」と言ってほしいだけのカウンセリング予約はやめてほしい、という動画を出しています。

整形は「もっと美人になりたい」という前向きな気持ちで選ぶもので、やりたくなければやらなければいい、という立場です。

やりたい人の手術は引き受け、壊れてしまう手術だけは断る。

あの「辛くないですか」は、望まれるままに手術を引き受けてきたほかの医者にも届く問いでした。

何十年もたってからの「止めて欲しかった」は、本人だけが抱える後悔ではないということですね。