飯島直子さん(58)が2026年10月27日、人間ドックの結果をインスタグラムに載せて、「昨年までよかった骨密度 C判定」と書きました。

「あわてて牛乳を飲んでる次第です」と笑いに変えていましたが、見た目が若いころとほとんど変わらない人でも、骨は年齢とともに減っていたことになります。

このニュースには「これ割と今後問題になると思うんよなぁ。マンジャロ勢とか。」という声もついていました。

マンジャロという糖尿病の薬で一気に痩せた人たち(ネットでは「マンジャロ勢」と呼ばれています)の骨は、この先どうなるのか。

骨は減っても痛みがほとんど出ないことや、痩せ薬ブームの陰で本来の患者さんに薬が届きにくくなっていたことまで含めて、順番に見ていきます。


飯島直子のプロフィール

名前 飯島直子(いいじま・なおこ)

生年月日 1968年2月29日(58歳)

育ち 神奈川県横浜市

職業 タレント・女優

代表作 缶コーヒー「ジョージア」のCM(1994年から6年間)、ドラマ『バスストップ』ほか

飯島直子さんは、1990年代に「癒し系」と呼ばれて大ブレイクしたタレントです。

缶コーヒー「ジョージア」のCMには6年続けて出ていて、1997年や1999〜2001年には、いちばん多くの会社のCMに出たタレントとして年間1位になっています。

 

いまは、居酒屋で地元の人やゲストと飲みながら話す番組『飯島直子の今夜一杯いっちゃう?』が続いています。

インスタグラムでファンのコメントにまめに返事をする姿から、SNSで「聖母」と呼ばれたこともあります。


昨年までよかった骨密度がC判定に

インスタグラムでは「先日の人間ドックの結果報告書が届き 目を丸くしていたところ」と書いて、結果を公開していました。

昨年までよかった骨密度 C判定

Cを埋めつくす用紙に あわてて牛乳を飲んでる次第です

そして、ビタミンDをつくるため 空に手をかざす くもり

あわてずいこう^_^ 健康第一 みんなも一緒にがんばろうね

飯島さんが載せた結果の用紙の写真には、骨密度の欄に「骨密度低下」と書かれていたことも、報道で伝えられています。

SNSには「いつもあんなに健康的な食事なのに骨密度C??」「結果用紙って見ただけでドキッとしますよね」「骨密度…女性は特に…ですよね」といった声が並びました。

 

前に測ったときは良かったのに今回いきなり下がっていた、という声は、ほかにもあります。

「運動しているのに」「食事に気をつけているのに」と思ってしまうのは、誰でも同じですよね。

 

人間ドックの判定は、ふつうAからEの文字で分けられていて、Aは異常なし、Dは治療や精密検査が必要という意味です。

そのあいだのC判定は、「病気と決まったわけではないけれど、生活の見直しや再検査が必要」という段階です。

骨密度そのものは、若い人の平均を100%として、80%を切ると「骨が減ってきている」、70%以下だと「骨粗しょう症の疑い」と見るのが一般的で、どこからをC判定にするかは健診機関ごとに違います。

 

それから、人間ドックで測る骨密度は、かかとに超音波を当てて測る簡単なやり方が多いんです。

骨粗しょう症かどうかをきちんと決めるときは、病院でX線を使い、腰の骨や太ももの付け根の骨を測ります。

だからC判定の紙を見たら、牛乳と同じくらい、病院でもう一度きちんと測ってもらうのが大事になります。


50代の女性は骨が急に減る

閉経(月経が終わること)で女性ホルモンが減ると、骨は急に減りはじめます。

女性ホルモンのエストロゲンには、骨が壊れすぎないようにブレーキをかける働きがあります。

このホルモンが一気に減ると、ブレーキが外れて、骨を壊すスピードが作るスピードを追い越してしまうのです。

閉経のあと数年は、1年に3〜4%のペースで骨が減るとされています。

 

実際、日本で骨粗しょう症の人の、およそ4人に3人は女性です。

食事に気をつけていても数字が下がることがあるのは、こうした体の変化が重なるからです。

女性ホルモンが減る時期と、ホルモンに関わる治療が重なる人ほど、骨密度の数字は気になるところです。


マンジャロ勢の骨が心配される理由

マンジャロは、本来は2型糖尿病の治療薬です(2型は、食べ方や体質で血糖値が高くなる、日本でいちばん多いタイプの糖尿病です)。

食欲が落ちて体重が大きく減ることから、保険の効かない自由診療で「痩せ薬」として使う人が増えました。

マンジャロが痩せ薬として広がったいきさつと、吐き気やリバウンドなど、うまく痩せた人の話のかげであまり語られていないことは、こちらの記事にまとめています。

ファッションモデルのような女性とマンジャロのイラストに「マンジャロ美容利用に批判 重すぎるリスクと代償」のテキスト入り。
マンジャロで痩せたその先にあるものは?誰も教えてくれない「美しさの代償」 最近、SNSでマンジャロという名前を見かける機会が増えていませんか。 週に一度の注射で痩せられる。 運動や食事制限を頑張らなくても理想...

 

骨は、毎日自分の体重を支えることで、その強さを保っています。

そのため、短いあいだに体重が大きく減ると、骨も一緒に減りやすくなります。

食事の量そのものが減るので、カルシウムやたんぱく質が足りなくなりやすいのも心配な点です。

海外では、マンジャロと同じように食欲を抑える痩せ薬(セマグルチド)の試験で、1年使った人の腰や太ももの付け根の骨密度が、有効成分の入っていない薬(偽薬)を使った人より下がったという報告があります。

2025年のアメリカの学会でも、マンジャロと同じ成分の薬やセマグルチドで体重が多く減った人ほど、太ももの付け根の骨密度の下がり方が大きかったと発表されています。

マンジャロだけを長く追いかけた大きな試験は、まだこれから。

 

一方で、使った人からはこんな声も出ています。

心配の声が向いているのは、大きく太っていた人が医師のもとで減らすケースではなく、もともと標準体重の人がさらに細くなろうとして使うケースです。

 

若い人の場合は、もうひとつ気がかりがあります。

骨の量は20歳ごろにいちばん多くなり、そこから先は大きくは増えません。

その時期に食事を大きく減らして痩せると、閉経のあとに頼るはずの「骨の貯金」が少ないまま大人になってしまうということ。

若いころの行きすぎたダイエットが、ずっと先の骨粗しょう症につながると、自治体も注意を呼びかけています。

 

骨は、減っても痛くもかゆくもありません。

「今後問題になる」という声がこわいのは、何年もたってから、骨折という形でいきなり表に出てくるところです。


痩せ薬ブームの陰で起きたこと

「今後問題になる」のは、骨のことだけではありませんでした。

痩せ薬としての人気は、薬の出荷や売り買いまで変えています。

2024年3月 ダイエットなど本来の目的以外の需要も重なり、マンジャロの限定出荷が続くと報じられる

2026年6月2日 SNSでマンジャロを許可なく売っていた疑いで、大阪府警が男女3人を書類送検(逮捕せずに、捜査の書類を検察へ送ること)

2026年6月5日 厚生労働大臣が会見で、SNSでの個人どうしの売り買いは医薬品医療機器法(薬の売り方などを決めた法律)違反にあたると発言

2026年6月16日 厚生労働省が、本来の治療以外の使い方は健康被害につながるおそれがあるとして、正しく使うよう全国に通知

2026年9月 薬の副作用の報告を集めているPMDA(医薬品医療機器総合機構)の資料で、ダイエットや美容の目的で使ったあとの副作用の疑いが3年あまりで35件あったと報じられる

2024年に出荷が絞られたときには、本来この薬が必要な糖尿病の患者さんに行き渡らなくなるおそれが指摘されていました。

35件の中には薬との関係がはっきりしないものも含まれますが、低血糖(血糖が下がりすぎること)や膵炎(すい臓の炎症)など、薬の説明書で注意されている症状が並んでいます。

 

海外では、偽物の痩せ薬が出回っているとして、WHOが2024年に注意を呼びかけました。

SNSで手に入れた注射の中身が本物かどうかは、打つ本人にも確かめようがないのです。

痩せたい人に向けてSNSで薬を売る人がいた一方で、本来の糖尿病の患者さんには薬が届きにくくなっていたことになります。


骨折から介護が始まることも

骨粗しょう症になると、尻もちをついただけで太ももの付け根が折れたり、「ものを持ち上げた」「軽く転んだ」くらいのことで背骨が押しつぶされたりします。

背骨の骨折は腰の痛みだと思って見過ごされやすく、80〜84歳では、症状のあるなしにかかわらず4割あまりの人が背骨の骨折を抱えているとされています。

背中が丸くなったり、身長が縮んだりして、初めて気づく人もいます。

 

太ももの付け根を折ると手術とリハビリが必要になり、それまでのように歩けなくなる人も。

高齢の患者さんが中心の報告ですが、手術から1年のあいだに亡くなる人が1割前後から、多いものでは3割を超えるという数字もあります。

国の2022年の調査では、介護が必要になった主な原因の3位が「骨折・転倒」でした。

 

50代・60代なら、親の骨も気になる年ごろです。

親が「最近背中が丸くなった」「身長が縮んだ」と言っていたら、それは骨からのサインかもしれません。

飯島さんのニュースをきっかけに、親子で骨密度の話をしてみるのもよさそうです。


牛乳と日光浴でできること

飯島さんの「あわてて牛乳」と「空に手をかざす」は、どちらも理にかなっています。

骨の材料になるのはカルシウムで、50〜64歳の女性は1日650mgがすすめられています。

牛乳はコップ1杯(200ml)で200mgあまりなので、それだけで1日分の3分の1くらいになります。

小魚・チーズ・ヨーグルト・小松菜や豆腐からもとれます。

 

ビタミンDは、カルシウムを体に取り込むのを助ける栄養。

日光に当たると皮膚で作られ、必要な時間は季節や住んでいる場所で大きく変わります(冬や北の地域ほど長くかかります)。

くもりの日でも少しは作られ、食べ物なら鮭やきのこにも多く含まれています。

そしてもう1つ大事なのが、歩く・階段を使うといった、体に重さをかける毎日の動きです。

 

骨粗しょう症と診断されたり、それに近い数字が出たりした人には、骨が減るのを止める薬や、骨を作る薬もあります。

人間ドックを受けていない人は、お住まいの市区町村の骨粗しょう症検診から始めると手軽です(対象の年齢や費用は自治体ごとに違います)。

 

飯島さんが見せてくれたのは、見た目がどれだけ若くても、骨の数字は測ってみるまで分からないということでした。

マンジャロで痩せた人も、まだ骨密度を測ったことがない人も、「あわてずいこう」くらいの気持ちで、一度は自分の数字を見ておきたいですね。


この記事で参考にした情報

体のことなので、気になったところはご自分でも確かめられるように、読んだ資料を並べておきます。

飯島直子さんの投稿について

  • ENCOUNT「58歳・飯島直子、人間ドックの結果報告 まさかの判定にショック『目を丸くしていた』」(2026年10月28日)
  • まいどなニュース「飯島直子(58)、骨密度が低下しC判定 人間ドックの結果に共感の声続々」(2026年10月29日)

骨密度と骨粗しょう症について

  • 日本骨代謝学会ほか「原発性骨粗鬆症の診断基準」
  • 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」
  • 神奈川県「骨粗しょう症の予防(最大骨量と若いころのダイエット)」
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
  • 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
  • 長寿科学振興財団「脊椎圧迫骨折(椎体骨折)」
  • 日本整形外科学会ほか「大腿骨頸部/転子部骨折診療ガイドライン」
  • 健康増進法にもとづく骨粗鬆症検診(市区町村が実施)

マンジャロ・痩せ薬について

  • 秋田魁新報(共同通信)「美容目的使用後に副作用の疑い 35件、糖尿病治療薬マンジャロ」(2026年9月22日)
  • Endocrine Society「ENDO 2025」での発表(セマグルチド・チルゼパチドと股関節の骨密度)
  • 薬事日報「『マンジャロ』限定出荷継続」(2024年3月7日)
  • 共同通信「糖尿病薬、個人売買は違法 厚労相『SNSで広がり』」(2026年6月)

なお、この記事は医療の専門家が書いたものではありません。

骨密度の判定が気になる方や、マンジャロなどの薬を使っている方は、病院や処方している先生に相談してください。