ちいかわの映画に5つめの入場者特典があると分かったのは、2026年9月14日の午後でした。

9月19日の土曜日から配られる「ひみつ本」は、なんと全52ページもある小冊子だそうです。

公式発表からわずか半日で、Xには「絶対欲しい」「過去一ほしい」という声と一緒に、もうひとつの言葉が並びはじめました。

争奪戦、です。

 

第1弾から第4弾までを見てきた人ほど、「またすぐ無くなるのでは」と不安がよぎるはずです。

「初日に行ったのに品切れだった」という悲鳴が、第3弾からずっと続いていますから。

「何時の上映なら確実なのか」も含めて、気になるポイントを順番に確かめていきます。

ネタバレは書きませんので、まだ観ていない方も安心して読み進めてくださいね。

配られるのは52ページの冊子

公式SNSが最初に出したのは、「数量限定でひみつ本を配ります」という味気ない告知だけでした。

各劇場で用意された在庫が切れた時点で、「その劇場の配布はおしまい」と書かれています。

追加料金のかかるIMAXでも4DXでも、もらえる中身に差はないそうです。

 

肝心の中身は、翌日にかけて少しずつ出てきました。

まず1つ目は、映画のもとになった原作の「セイレーン編」を練っていた当時に、ナガノさんが描いた秘蔵の設定画です。

映画に出てくるふたごの人魚、ヒトハとフタバは、本編では顔も見えずひとことも喋りません。

ところがその2人には、構想の段階では顔もセリフもあったそうです。

完成版では人魚のセイレーンが立っている場所に、「初期案では別のキャラがいた絵」も入るとのこと。

ふたつめが、島でいちばん大きな体をした島二郎と、いつも腹を空かせているオデが取っ組み合う特別掲載まんが「オデと島」。

そして3つ目は、この配布本のためだけに描き下ろされた日常マンガ「むちゃうま日記」です。

「52ページ」と言われても、どれくらいのボリュームなのか正直ピンときません。

それをいちばん分かりやすく言っていた人がいました。

「映画館のパンフ1冊分」と聞けば、手にしたときのズッシリ感が想像できるはずです。

過去に配られたオマケは、めじるしのチャームやシール、小さなミニカーといったものでした。

ポケットに入る雑貨とは違って、今回は「立派な公式パンフレット」並みの本が渡されます。

これまでの「おまけの小物」とは、もはや別物と言っていいと思います。


第3弾からは初日で終わる劇場が出た

では、過去の配布グッズはどれほどのハイペースで消えていったのでしょうか。

いちばん近い第4弾は、島二郎・セイレーン・ヒトハ・フタバのチャームミニフィギュア全4種で、2026年9月5日の土曜日から配られました。

中身の見えないブラインド仕様なので、「狙ったキャラが出るか」は運次第です。

配布スタート当日に映画館へ駆け込んだのに、手ぶらでトボトボ帰った人がいます。

初日に行って、映画だけ観て帰った。

幸いにもこの方は、ネットで在庫情報を教えてもらって4日越しにリベンジを果たせたそうです。

ひとつ前の第3弾のときにも、同じことが起きていました。

4回目の鑑賞について聞かれた熱心なファンが、こんなふうに返信しています。

第3弾のミニカー配布が始まったのは8月22日の土曜日ですが、この方の劇場は初日のうちに終わっていました。

その第3弾は、配布4日目にあたる8月25日の時点で、終了を告知した劇場が全国で40館を超えていました。

公式が一覧を出しているわけではないので、劇場のX告知と来場した人の報告から数えられたぶんだけの数です。

「初日に行けば安心」というこれまでの常識は、第3弾ですでに通用しなくなっていました。

 

とはいえ、用意されている数は劇場ごとに違いますから、本当は同じ場所で比べないと速さは分かりません。

それを自分の地元でやっていた人がいました。

全く同じ映画館なのに、第2弾の6日が第3弾では2日。消え方が別物になっています。

興味深いのは、映画館全体の動員数そのものが跳ね上がったわけではないところです。

7月24日の公開から8月30日までの38日間で、観客動員849万人、興行収入122億円。

そこから9月13日までの52日間では、観客動員1000万人、興行収入146.6億円まで伸びています。

1日あたりに直すと、最初の38日が22万人ほどで、あとの2週間は11万人ほど。

劇場の混雑ぶり自体は、公開直後の半分ほどに落ち着いてきているんです。

それでも早く切れるのは、「初日を逃すともらえない」と焦る人が集まるからでしょう。

 

公式の案内の上では、どの弾も次の弾が始まる前日まで続くことになっています。

7月24日に始まった第1弾が8月7日で終わり、そのあとを第2弾が8月21日まで、第3弾が9月4日まで、第4弾が9月18日まで引き継いでいます。

劇場側の公式スケジュール上では、どれも「きっちり2週間の配布期間」でした。

ところが現場は、そのとおりには動きません。

「2週間持つはずのスケジュール」が、現場ではたった1〜2日で蒸発している現実があります。

このタイムラグのせいで、「着いた時には終わってた」と嘆く人が出るわけです。

配布初日が3連休の初日に重なった

今回の第5弾には、これまでの4回に無かった事情がひとつあります。

配布開始の9月19日は土曜日で、翌20日が日曜、21日が敬老の日ですから、そのまま3連休に突入します。

22日の火曜をはさんで23日も秋分の日なので、世間が浮き足立つ「秋の大型連休」のいちばん最初に、配布開始日が置かれた形です。

8月8日・8月22日・9月5日と、これまでは祝日の絡まない「ただの土曜日」ばかりでした。

平時の土曜スタートと違って、3連休の初日に特典が切り替わるのは今回が初です。

ふだんの週末より家族連れでごった返す日に、「目玉の小冊子」が投下されます。

連休なら動きやすくなる人もいるはずですが、Xで先に並んだのは逆の声でした。

連休だからこそ、ずっと前から別の予定が入っていて動けない、という人がたくさんいました。

キャンプの予定、土曜の仕事、日曜からの4連勤。

Xの投稿を見渡しても、「行きたいのに行けない事情」が次々と流れてきます。

ただ、行けないと書く人は目につきますが、書かずに来る人のほうがずっと多いはずです。

その人たちが行けないぶん空くかというと、たぶん逆なんですよね。

普段の土日よりも映画館そのものが混雑するため、チケットの争奪戦も一段と激しくなります。


動くのはグッズに並ばなかった人たち

もうひとつ、ひみつ本が呼ぶのは、これまでの特典で動いていた人とは別の層だという見方も出ています。

「グッズはいらないけど設定資料なら読みたい」という層が、今回は動くという読みです。

情報解禁の直後、「自分のようなライト層が動いてしまう理由」を自己分析した投稿がありました。

「映画自体はまあそのうちでいいや」くらいの熱量だったと、自分で書いています。

ウスイホンというのは、同人誌のような薄い冊子のことですね。

マスコットやシール配りでは、劇場に足を運ばなかった人です。

普段のグッズ争奪戦に不参加だった人たちまで押し寄せるため、朝の行列の顔ぶれも変わってきます。

これまでと同じ初日ではない。

読み物としての特典に慣れている人もいます。

鬼滅の刃、呪術廻戦、スパイファミリー。

ジャンプ系のアニメ映画では定番の配り方なので、ファンには馴染み深いスタイルです。

「薄い本系の特典がどれほど一瞬で蒸発するか」を、歴戦のアニメファンは肌で知っています。

前に並んだことのある人ほど、今度も早く動くということです。

「どれだけ作品が好きか」ではなく、単に「どれだけ早く並んだか」の勝負です。

残りの数を外から確かめる方法はない

公式のアナウンスを読むと、争奪戦のルールを左右するポイントが3つあります。

ひとつめは渡されるタイミングで、チケットを買ったときではなく、シアターへ入るときに手渡されます。

「席の予約だけ済ませて先にもらう」といった裏ワザは通用しません。

 

2つ目は個数制限で、「チケットを複数枚持参しても1人1冊厳守」というルールです。

第5弾の案内にあるのは「配布数が足りなくなった時点で配布を終了いたします」までです。

ただ第4弾のときは、その回のお客さん全員分を用意できなくなった時点で終える、と回ごとの言い方で説明されていました。

今回も同じなら、「映画館ごとの在庫」というより「上映回ごとの早い者勝ち」になります。

 

みっつめが、いちばん厄介なところでした。

公式は、配布数や残数についての問い合わせはご遠慮くださいと書いています。

「あとどれくらい残っているのか」を客席側から確かめる方法は、どこにもないんです。

スタッフがカウンターに「本日分配布終了」の看板を出すまで、こちらには分かりません。

つまり、行ってみるまで分からない。

前回の第4弾でも、早い映画館では「夕方の回」ですでに配布終了の札が出ていました。

池袋で17時の回が最後だった日に、地元のレイトショーを予約していた人の投稿です。

座席数の多い都心の大規模シネコンほど、1回の上映で配る数もそのぶん多くなります。

用意された数が同じなら、大きい劇場から先に底をつく計算です。

 

もっとも、今回も同じになるとは限りません。

同じ心配を書いている人はたくさんいます。

冊子は手のひらサイズのフィギュアより場所を取るので、劇場の裏に積んでおける数には限りがあるかもしれません。

逆に、「紙の本ならフィギュアより増刷しやすいのでは」と楽観視する見方もできるでしょう。

「小物より数が多いのか少ないのか」は、19日の朝まで誰にも分かりません。

 

分かっている材料だけでも、「取るべき行動」は1つに絞られます。

「どうしても欲しいなら初日の朝イチ回一択」という結論になります。

「大型連休」「新規層の参入」「在庫不明」「上映回ごとの早い者勝ち」。

これだけの悪条件が揃うと、午後のチケットを取るのは「イチかバチかの賭け」です。


普通に売ってほしいという声が出ている

発表からの1日でXに並んだ投稿を新着順に40件ほど読んでみると、欲しいという言葉の次に多かったのがこの一言です。

欲しいけど、普通に売ってほしい。

同じことを別の言い方で書いている人も並んでいました。

公開が終わったあとでいいから電子書籍でも出してほしい、と熱望する声です。

ただ、公式の注意書きには、ひみつ本は非売品で、転売も内容の複写・複製も一切禁止と書かれています。

公式にお金を払って「普通に買うルート」は、いまのところ存在しないのです。

配り終わりに間に合わなければ、「泣き寝入り」か「フリマの高額品」の二者択一です。

 

だから「普通に売ってほしい」は、わがままではないと思います。

あれは、「転売屋から買わずに済む真っ当な逃げ道をください」という切実な声です。

お金は出す。ただ、その行き先を転売屋にしたくない。

そう捉えると、あの一言が値段の話ではないと分かります。

発表の日には、こんな呼びかけも回っていました。

買わないで、とお願いする直前に、自分の分しか取れませんと書いてあるところがこの投稿のいいところだと思いました。

転売品を買わないでと止める側も、「自分の1冊を死守するのが精一杯」という立場なわけです。

 

この夏、ちいかわのまわりでは、映画から入ってきた人への警戒が何度も話題になりました。

映画から入った新規客で行列が急激に伸び、昔からの熱心なファンが弾き出されてしまうわけです。

その話は「古参ファンがいちばん警戒していること」という記事にまとめましたが、不満の正体は新参への嫉妬というより、「熾烈な席取り合戦への疲れ」でした。

殺伐としがちな争奪戦のなかで、今回の「ひみつ本」には唯一の救いがあります。

取り合いにならない特典。

ブラインド仕様ではないので、「コンプリート狙いで何回も観る」理由がありません。

「推しが出るまで何回もチケットを買う」という地獄のループは発生しません。

ふたごのヒトハとフタバが片方しか出ずに泣いた第4弾とは、そこがはっきり違います。

朝いちばんに並べた人も、今回はどうしても動けない人も、読みたかったものは同じ52ページです。

だから手に入れた人が、あの2人に顔があった頃の絵の話をはじめたら、もらえなかった人も遠慮なく混ざっていいと思いますよ。